「本当は、どうしたい?」
そう聞かれて、すぐに答えられる人はどれくらいいるんだろう。
やりたいことが分からない。
このままでいい気はしないけれど、
じゃあ何を変えたいのかも分からない。
そんな状態になることがあります。
私も何度もありました。
何かに不満があるわけではない。
でも、心のどこかに小さな違和感が残っている。
「本当は違うんじゃないかな」
そんな気がするのに、
その先にある答えが見つからない。
以前の私は、そんな自分を見て、
「やりたいことくらい分からないとダメなのかな」
と思っていました。
でも今は、
分からない時期があるのも、それほど不思議なことではないと思っています。
「やりたいこと」が分からないのには理由がある
私たちは普段、
自分の気持ちだけで生きているわけではありません。
仕事があります。
生活があります。
家族や友人との関係があります。
周りから期待される役割もあります。
「こうした方がいい」
「これはやめた方がいい」
「普通はこうする」
そんな言葉をたくさん聞きながら生きていると、
いつの間にか自分の声が小さくなってしまうことがあります。
特に、
周りに合わせることに慣れている人。
期待に応えようとしてきた人。
失敗しないように頑張ってきた人。
そんな人ほど、
「あなたはどうしたい?」
と聞かれたときに困ってしまうことがあるのかもしれません。
ずっと周りの声を聞いてきたのに、
急に自分の声だけを聞こうとしても、
すぐには聞こえないこともあります。
大きな「やりたいこと」を探さなくてもいい
「やりたいことが分からない」と悩むと、
つい大きな答えを探してしまいます。
夢。
天職。
人生の目的。
本当に好きなこと。
一生続けたいこと。
でも、最初からそんな大きな答えを見つけようとすると、
ますます分からなくなることがあります。
私自身も、
「これが私のやりたいことです」
と胸を張って言えるものを探そうとして、
逆に迷ったことがありました。
でも、人生って、
そんなにきれいに一本の線でつながっているわけではないんですよね。
興味を持って始めたことが、
途中で違うと分かることもある。
逆に、何となく始めたことが、
思っていた以上に好きになることもある。
だから最近は、
「人生をかけてやりたいこと」
よりも、
「今、少し気になること」
を大切にするようになりました。
「したいこと」より「したくないこと」から考えてもいい
やりたいことが分からないとき、
私は「嫌なこと」から考えるのもひとつだと思っています。
毎朝この生活を続けるのはしんどい。
こういう働き方は合わない。
人にずっと気を遣う関係は疲れる。
時間に追われ続ける生活は嫌だ。
何がしたいのかは分からなくても、
「これは違う」
なら分かることがあります。
それも、自分を知るための大切な材料です。
「嫌だから逃げる」という話ではありません。
嫌だと思った理由の中に、
自分が何を大切にしたいのかが隠れていることがあるからです。
たとえば、
時間に追われるのが嫌なら、
自分のペースを大事にしたいのかもしれない。
決められた通りにしか動けないことが苦しいなら、
自分で考えて動ける環境を求めているのかもしれない。
人間関係に疲れているなら、
無理をしなくても一緒にいられる関係を大切にしたいのかもしれません。
「嫌だ」という感情も、
ただのわがままではなく、
自分を知る手がかりになることがあります。
答えは、考えているだけでは見つからないこともある
私は以前、
何かを決める前にできるだけ考えようとしていました。
失敗したくない。
後悔したくない。
せっかく始めるなら、ちゃんと続けたい。
だから、
「本当にこれでいい?」
と何度も考える。
でも、どれだけ考えても答えが出ないことがあります。
なぜなら、
やってみないと分からないことがあるから。
少し勉強してみる。
気になる場所へ行ってみる。
知らない人の話を聞いてみる。
新しいことを一度だけ試してみる。
そんな小さな行動から、
「思っていたより好きかも」
とか、
「これは違ったな」
という感覚が見えてくることがあります。
それで十分なのだと思います。
違ったら、また変えればいい。
前の記事でも書いたように、
選び直すことは失敗ではありません。
選んでみたからこそ分かることもあります。
「分からない」は、何もないという意味じゃない
何がしたいのか分からない時期は、
少し不安になります。
周りを見ると、
目標に向かって進んでいる人。
好きな仕事をしている人。
夢を語っている人。
そんな人ばかりが目に入ることがあります。
自分だけが立ち止まっているように感じることもある。
でも、
「分からない」
ということは、
何も考えていないという意味ではありません。
むしろ、
これまで当たり前だと思っていたものに
違和感を持ち始めたからこそ、
答えが分からなくなっていることもあります。
今までの道をそのまま歩くなら、
考えなくても進めます。
でも、
「本当にこの道でいいのかな」
と思った瞬間から、
一度立ち止まることになります。
その時間は、
次の道を探している途中なのかもしれません。
今の自分に聞ける、小さなこと
もし今、
自分がどうしたいのか分からないなら、
人生の答えを出そうとしなくてもいいと思います。
代わりに、
最近、少し気になったことは何だろう。
もう少し時間があったら何をしたいだろう。
今の生活で、減らしたいものは何だろう。
逆に、増やしたい時間は何だろう。
どんなときに「楽だな」と感じるだろう。
そんな小さなことから考えてみる。
そこに、
自分が本当に望んでいるものの欠片があるかもしれません。
私も今でも、
すべての答えが分かっているわけではありません。
これからやりたいことも、
きっとまた変わります。
でも、
分からないままでも、少しずつ確かめていくことはできる。
今は、それくらいでいいのだと思っています。


